透明思考

 ときどきこんなふうにおもう。

 僕たちは列車にのっている。
 行き先はわからない。駅につけば、降りることもできる。けれども駅から出ることはできない。できるのは乗り換えることだけだ。どの列車も、どこに向かうのか、わからない。ただ、自分の感覚を信じて、乗りこむだけだ。
 終着駅があることは、わかっている。
 けれども、そこがどこなのか、いつ到着するのか、そこがどんなところなのか、誰も知らない。そこにたどり着いたとき、僕たちはいったいどうなってしまうのか、知る人はいない。
 物心ついたときには、すでに列車にのっていて、ときどき立ち止まる駅には、出口がない。
 降りることはできない。
 ただ、
 乗り換えるだけだ。