カードゲーム

5枚のカードが配られる。ランダムに。
一枚ずつ、それを自分の場に置いていく。
一枚、カードをおくたびに、チップを一枚賭けなくてはならない。
そして、カードは必ず、直前におかれたカードよりも優れていなくてはならない。

けれども、何が何よりも「優れている」かについては、決まりがない。
何かが優れている。その理由をいわなくてはならない。

理由はどんな理由でもかまわない。
数が多いという分かりやすい理由がある。1よりも2、2よりも13の方が優れている。しかし、それを順位だとみなせば、13よりも2、2よりも1の方が優れている。あるいは、美しいでもいい。ダイヤの方がクロバーよりも美しい。スペードの1は、ダイヤの1よりも力強い。
なんだって、かまわない。

すべてのプレーヤーが5枚のカードをすべて出し切ってしまえば、ゲームは終了となる。
どのカードの組み合わせがいちばん優れているか。それにも決まりはない。
プレイヤーは、その組み合わせがなぜ一番優れているかを、説明する。そして、他のプレイヤーがそれに納得したとき、勝ちとなる。チップはすべて、勝ったものが受け取る。

一見、バラバラに見える5枚のカードに、なにか統一したものが見えるとき、プレイヤーは自らの偶然が、いつのまにか必然に変わっているのを知るだろう。バラバラの現実が、バラバラの感覚が、バラバラの感情が、バラバラの記憶が、まとめられている。

誰によって?

私が知りたいのは、その誰だ。