2005-01-01から1年間の記事一覧

むしろ人間の弱さについて わたしたちは語るべきではないか / そのケモノとしてのあり方について 涙を隠した上で もうすこし 語り合うべきではないか / 白い雪が 美しく荒野を彩るように わたちたちもまた 自らの弱さを 美しく形作ることが できるのだから…

白い花が咲くように ギリギリと音を立てて 崩れ落ちた思考の破片を 踏みつけて 歩く / 夜道には暗い街灯もなく 色めき立つ横断歩道も 存在しない / すばらしい世界へ ウインカーを出して曲がっていく 自動車たちを 追い抜いて / 私は夜の道を歩く / 思考…

圧倒的な未来が むやみに私を欲情させる 狂おしいほどの選択肢が 私の敏感なところを撫でつける 要するにおまえは 冷気をあび 猿のように 逃げ惑っているだけだ

地下に這うこどもたちが 突如として 凍り始める / 大きく育っていくことを 夢見るほど 自分と自分以外の区別が ついていない のに / 凍っていくこどもたちが 霜柱となり 地面を持ち上げる / 私はそれを さくさくと踏みつけていく 踏みつけなければ 彼らを…

翼手竜

おまえは恐竜とよばれ それから恐竜ではないといわれた おまえは鳥だといわれ それから鳥ではないといわれた おまえは太古の空を制し それから博物館の天井に 吊り下げられた ときには人を食い ときには食い殺された おまえの翼は手であり 手は翼であった 翼…

格別の節制を慰めて

たとえば 昼下がりの高級ホテルのロビーのとなりにある 不必要に広い喫茶店の一杯千円ほどする紅茶を飲みながら キザったらしい髪型と服装をして 臆面もなく嘘であることを露骨に現しながら これから半分詐欺のような商談のために 笑顔をつくることについて …

わたしのはんぶんがなく わたしのはんぶんがわらう / ざんこくなわたしがいきのこる ふかいうみにすむ きかいないきものがわらう / おまえだ / わらうことなく わたしのはんぶんであるわたしは わたしをうたう / こうしてくみあわされた もざいくのわた…

飲み会自治会忘年会 拍手に握手に民宿で 祝辞にケツ字に東大寺 毎度ハズレのバスガイド 温泉デブ専いかんせん やるかい?バカかい?へーそうかい? まんじゅう怪獣改装中 場末の撒き餌のエテ公の 赤面ごめんよ洗面器 踊れよ回れよ 空高く 感激カラカラ観覧車

嘘にまみれた世界から 逃れ 長い坂を上って たどり着く きみの部屋の あかりが 懐かしい / まるで 暗い海に向け 静かに回転する 灯台のあかり のように 遠く暗い森から 小さな羽を動かして 光に向け やってきては 飛び込んでいく 甲虫のように / ほんとう…

からだが言葉を生みだす 知識はそれを助けるだけだ 歩け 歩け からだが言葉を拾い上げ 振動が言葉をふるい落とす 歩け 肺が収縮し 心臓が波打つ 血液がめぐり 瞬きをすれば そこに私が立っている

すなのかけら かぜのざわめき ひとりだけ とりのこされた さみしさ / てをのばし くるしみを まぎらわす まとわりつく ちいさなかけら / みんな いってしまうよ みんな いってしまったよ / てのひらいっぱいの おもいで きえてしまった ささやき ひとりだ…

どこかで悪魔が線を引き 私の心は有限の 破片からなる パズルとなった / やみくもに 掴み でたらめに 組合せ 私は なんとか人間の 体裁を 整える / パズルの破片は つぎつぎと失われ 私は 追われるように パズルを 組合せていかねばならない / 色とりどり…

嘘くささを消し去るためには、正直になるしかない。 一点の曇りもなく、正直になること。 それができるならば、もちろん苦労はしない。 / けれども、おそらくそれしか方法はない。 / しかし、この言葉は。 いま、こうして書いている言葉はまったく偽りのな…

どこかで私は嫉妬している 心の奥で 誰かの顔に泥を ぬりたいと思っている / にこやかに まるで親切で お人好しのふりをしているけれど 本当は私は 嫉妬深い 小さな人間なんだ / 小さな人間なんだ と 誰かに訴えかけて どこかで私は なぐさめを 求めている…

回転する車輪を受けて きしむ地面の叫び声を 聴くことができますか / あたたかい飲み物が欲しい 十全に用意された部屋で プライドを いささかなりとも 傷つけられないように タオルを首に巻き 砂糖もミルクも入れずに / そして俺は叫ぶ おまえの叫びに 呼…

巨人が地面に手をついたように プラタナスから 落ちてきた枯れ葉が アスファルトに 影をつくる / カラカラに乾いて 風に吹かれる おおきな手を 見ながら 私は150円で買った 甘い水を 飲んでいる / おまえに生きる価値はあるか という問いは 意味を持たない…

サンタクロースが僕の 枕元に来ることは なかった / 僕の家の屋根の上には 煙突はなく 父も母も 十字架など知らず したがって僕の夜空には 鈴の音が響くことも なかった / 今日もまた 僕は 夜を突きぬける 列車に乗って 君のもとへ さびついた言葉を 届け…