三歳になる娘が、もっていたお菓子をみせて
おとうさん食べる?
ときいた。
食べる
とこたえると
娘はうれしいような
困ったような顔をして
手にもった自分のお菓子を
ほんのちょっと
米粒ほどの大きさにちぎって。

あげたいけど、あげたくない。
あげたくないけど、食べてほしい。
食べてほしくないけど、食べさせたい。
ふたりで食べると楽しいけれど、お菓子がへるのはいやだなあ。

いろんな想いがつまっている
娘のくれた
小さなカケラを
口にほうりこむ。
おいしい?
と娘は私の顔をのぞきこむ。
小さすぎて味なんかわからならないけれど
おいしい
と言う。
すると
とてもうれしそうに笑って
もっと食べる?
と、また小さな米粒ほどのカケラを
できるだけ小さくちぎろうと
一生懸命に
なっているのだった。