*短編第16期作品覚書
http://www.kinet.or.jp/kits/tanpen/16/

白昼夢/南

幻想的な、あるいはシュールな展開に(とくに花が降ってくるところから)ひきこまれた。題材はありきたりな感じもするし、全体から見て統一感に欠ける違和感のある表現があり、少し気になったが、印象的な表現も数多くあり、楽しめた。


カタカタ/ゆう
冒頭から最初の空行までは読みにくいし、僕なら削る。そうすると、冒頭は「冷たい女の手が私の頬をかすめるように吹いてくる」となって、なんだかよくわからいけど、そこは削った分の字数で補える。で、感想はというと最初の空行から後は結構楽しめた。どういうこともない話だけども、なんだか面白しろかった。


頼むよ サンタ/真央りりこ

微妙におしい。面白くなる寸前だった。これも、最初のキリスト部分は削るな。そしてもうひとつ展開させる。
「でも、サンタを信じてるんだ」ということを言葉でなく態度や行動で示してもらうと、僕が一票いれたと思います。


小人/曠野反次郎

文章というか文体の完成度が高く、読んでいて、気が散ることなく安心して読むことができた。このレべルになれば自動的に一票となる。そこまで到達している作品がほとんどないからだ。ただ題材に魅力を感じなかった。この文章なら何だって読ませられるのだから、あとは題材次第だろう。

カアル/瑕瑾
面白いとは言い難いが、面白くないわけではない。初めの方の表現が固いのと、書いてあるのが設定だけだからかな。

竹井さんの傘/川島ケイ
いい話だと思うが、いまいち入りこめなかった。竹井さんに対する僕の印象が不気味な人だったから。後半はとてもうまいと思います。

霧の中/戦場ガ原蛇足ノ助

いい話で、しかも細いところ(特に脇役2人)までよくできていている。読んでいて退屈しなかったし、読後感もさわやかだった。

昭和三景/朝野十字

面白いなあ。なんなんだろう、この世界は。火星人、原爆、反吐。意味わかんないが、しかし、どこかノスタルジックで、昭和三景というタイトルに不思義と違和感はない。どこがいいかはっきり指摘できないだけに、手放しで賞賛するしかない。すごいですこれは。

追放者/久遠

面白いような、そうでもないような。説明がくどいのが気になりました。いろんなことをきちんと考えているから、詰め込みたい気持はわかりますが、いかにも説明調のセリフとかじゃなくて、読者に暗示させるような言葉を使ってもらったらいいのに、と思いました。でも、どちらかといえば、面白かったのかな。

ひとり/西直

パラレルワールドを表現するのに、うまいことやったなあ。そう思います。ただ文章には改善するよちがあることと、全体として何かものたりない気がしました。