マッチポンプ

 「週刊金曜日」の11/21号がたまたま家に落ちていて、拾って読んでみたらこんな記事があった。

「中東の放送アルジャジーラがウサマ・ビンラディン氏の肉声とされる無気味な警告を流したのは先月だった。声明は「われわれはこの不正な戦争に参加するすべての国、とくにイギリス、スペイン、オーストラリア、ポーランド、日本、イタリアに対抗する権利を持つ」と宣言していた」(鈴木健二の政治時評)

 ここで、僕が強調したいのは、10月の時点で「不正な戦争」に「日本」が参戦している、と思われているということだ。

 さらに、鈴木氏は続けてこんなことも書いている。

「イギリスはいうまでもなく、イラクに兵を送っているポーランド、スペインにも、すでに被害が出ている。となると次に狙われるのは日本かオーストラリアか、ということになる」

「たしかにイラク戦争が始まる前までは、中東での日本の評判は悪くなかった。ところが、小泉首相ブッシュ大統領にすり寄り、その応援団を買って出たことから嫌悪感が広がった」

「中東の新聞は自衛隊を「傭兵」とさげすんでいる」


 中東の情勢について、詳しく僕はしらないから、どの程度このことが正しいのか分からない。

 しかし、小泉首相の行動が、反アメリカの立場をとる人々の反感を買い、日本を敵国と認識させる原因となったのは、ほぼ間違いないと、思う。

 9.11の事件が起き、日本がアメリカの味方になると小泉首相が表明した時、僕と同僚は冗談で「じゃあ、今度は、議事堂か霞ヶ関がやられるね」「いや、都庁じゃないか」などといっていたが、冗談ではなくなっているのだ。

 9.11直後、アメリカに住むアラブ人が不当な被害にあったように、われわれ日本人が、たとえ、どんな風に考え、行動しようとも、日本人であるというだけで、さまざまな被害にあう可能性があるということだ。

 イラクで外交官が殺害されたのも、もとを突き詰めれば、日本がアメリカに同調することが原因である。もし、外交官殺害が自衛隊派遣の理由のひとつ(国民を納得させる理由である)とするなら、それはマッチポンプではないのか。そもそも、アメリカに同調するのではなく、少し距離をおく立場をとっていなければ、このようなことにならなかったはずだ。

 派遣される自衛隊のことをさして、ある人は「かわいそうに、生け贄だ」といった。彼等が不当な(しかしある立場の人たちとっては、正当な)被害にであう可能性はとてつもなく高いだろう。

 私は戦争に反対だが、しかし、われわれは戦争に参加している。

 われわれが選んだ政府は、戦争を始めた。

 そういうことだ。